少しだけ詳しい地理の話をしますと、アルジャン村はフランスとイタリアの国境近く、ヴェルドン自然公園の東に位置します。この辺りはオーストリアやスイスから連なるアルプス山脈の西端でもあります。アルジャン村は標高1400mほどの谷合に位置しており、2000m級のコルドイユ山とモレル山に囲まれています。
ちなみに、地理や地学がお好きな方のために「アルプス造山運動」の説明もします。
今から2億年前くらいのジュラ紀までまだ海の底だったプロヴァンス地方。1億5千万年前のジュラ紀に入ると全地球規模の造山運動が活発になり、岩と岩がぶつかり合う激しい地殻変動が起こりました。その際に誕生したアルプス山脈なのですが、その激しすぎる地殻変動のために、古い地層が地表へと現れます。現在のアルジャン村周辺の地域(ヴェルドン地域)は世界有数のジオパークとしても知られ、貴重な化石や地層が保存されているため地層マニアにはたまらない地域なのです。この2億年前から現在も活動を続けるアルプス造山運動のおかげで、石灰質の土壌が地表へ露出し、弱アルカリ性の乾燥した土壌が生成され、ラベンダーの育成に最適な環境になったと考えられます。
さらに、アルジャン村は、地中海の乾いた温かい空気とアルプス山脈の冷えた空気が混ざり合う非常に寒暖差の激しい場所で、真夏でも早朝の気温が10度以下になることも珍しくありません。中世以来、ラベンダー栽培とその品質の高さで名を馳せたアルジャン村のラベンダー栽培に欠かせない地理的要因をまとめました。
「乾燥していて、寒暖差の激しい気候」
「地殻変動が生み出した太古の石灰質土壌」
「アルプスに囲まれた純粋無垢な湧水」