南フランスの旅 – 第66回マントン音楽祭 –

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イタリアとの国境の町マントンで毎年開催されている音楽祭は今年で66回目です。その初日に行われたオープニングコンサートに行ってきました。南フランスは暗くなるのが21時くらいとかなり遅いので、この野外コンサートが始まるのも結構遅め。メリットはゆっくりディナーをしてから演奏が聴ける点でしょうか。ただし、終演時間は日付を越えてしまいますがね。

 

コンサートプログラムは以下の内容です。

カメラータ・ザルツブルグ(演奏)
ピンカス・ズーカーマン(指揮・バイオリン)

ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ調
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 「トルコ風」
ハイドン:ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 Hob.VIIa:1
チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 op.48

有名曲ばかりでプログラムを見ただけでもワクワクします。

実は、この音楽祭には留学中の去年にも行ったので、2回目。

去年はネルソン・フレイレさんのピアノソロでした。その演奏も実に素晴らしいものでしたが、今回は室内楽オーケストラにバイオリンということで、行く前からさらにワクワク・ソワソワでした(笑)

なんといってもチャイコフスキーの弦楽セレナーデが楽しみで!そんなワクワクを抑えながら(?)、いざ当日。2015年7月31日はスーパームーンでした。

会場のサン・ミシェル大聖堂から望む月は格別です。ヨットの停留所の向こう側に浮かぶ赤みがかった月と地中海。なんとも情緒的な景色で、フランスに来て良かったと思える瞬間でした。

会場は小高い丘の上にある大聖堂前の広場です。三方は建物に囲まれていて、一方は海が見えるという立地。ほどよく音が反射するので、聴きやすいです。

開演前は、フェスティバルということでフランスの皆さんはシャンパンを飲みながらおしゃべりタイム。本当におしゃべり好きですね、彼らは。延々と喋り続けます。出会い頭に「Ça va?(げんき〜?)」から始まり、「最近、うちの子供がね〜」と井戸端会議になっちゃったり。ある老夫婦は今日の曲目に関して討論を始めたり。

それでも、66回目という歴史もあり、すごいリッチな方々もいらっしゃっていたようで…会場前には高級車がずらりというヨーロッパらしい側面も見れます。

そして、いよいよ開演。

モダンな曲調のストラヴィンスキーでは不思議な世界へトリップしたような気分に。

ハイドン、モーツアルトのバイオリン協奏曲でのズーカーマンのバイオリンソロでは心底驚きました。バイオリンという楽器はこんな音が出るのかと。今まで聞いたこともないような音の数々。その音だけでも優美な世界です。

そして、最後はチャイコフスキーの弦楽セレナーデ。あの有名なメロディーを目の前にして、頭の中は真っ白です。もともと真っ白でしょ!って? んなこたぁ、ないない(笑)

 

アンコールではブラームスの子守唄を観客と合唱し、終演。

と、こんな風に素晴らしいコンサートなんですが、素晴らしいのはこれだけではありません。これだけの一流アーティストと名曲のコンサートでありながら、意外とお安いんです!しかも、学割まであったりします(笑)

1等席で40ユーロ(約5,500円)、学割をもってして35ユーロ(約4800円)になります!さすが芸術・教育大国だと、その恩恵に感謝しながら帰路につく私でありました。

 

余談

フェスティバル的要素なのかもしれませんが、観客に混じって一緒に解散し、観客たちと帰路につくオケの団員さん。そして、ズーカーマンまでもが普通に歩いて帰っている姿がとても印象的でした。普通に隣に歩いていましたから…

サインもらっておけばよかったかな?(笑)

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