「ミレジム・ビオ」は、オーガニック先進国フランスで最大級のビオワイン専門見本市
名古屋を拠点にワインインポーターとして活動しているフランス人トマさんに誘われて、南フランス・モンペリエで開催されたワイン見本市「Millesime Bio ミレジム・ビオ」へ視察に行ってきました。
ミレジム・ビオはフランスやイタリアのオーガニックワイン専門の見本市。
1500以上のワイナリーが出展する南フランス最大規模の見本市です。あまり日本では知名度が少ないのか日本人バイヤーさんはほとんど見かけませんでしたが、世界中からインポーターが試飲と交渉にやって来るようです。
なお、こちらの見本市はプロ向けなので一般の方は入ることができないようです。
トマさんの案内で、一日中20件近くのワイナリーを会場内で巡ります。ボルドー、ロワール、ローヌ、プロヴァンス、ブルゴーニュ…まるでフランス中を旅しているかのように各地のオーガニックワインを試飲。
出展者の割合としては南フランスのワインがかなり多いようです。日本にはなかなか南フランスのワインはあまり入ってこないので興味津々。
1件あたり5〜10種類ほどのワインを用意してあるので、テイスティングではもちろん全部は飲みませんが、それでもアルコールは入ってきます。5件ほどブースを回ればそこそこにホロ酔い気分です。
トマさんの会社が輸入しているワイナリーのブースへ。こちらはフランス・ロワール地方のワイナリー「ルネサンス フルリエ・フレール」
フランスを代表する白ワイン産地サンセール。ミネラル感とフレッシュな酸味が特徴の白ワインです。土着酵母を使用していて100%ナチュラルで。もちろん酸化防止剤も無添加、全て手作業で収穫しているそうです。
オーガニックワイン、フランスでは「ビオ」と言いますが、そのこだわりとクオリティは間違いなく年々高くなっていっていると思います。
シャトーヌフデュパプとエルミタージュ
南フランスが誇る名産ワインといえば、アルル近郊の名醸地シャトーヌフデュパプ。そして、北部ローヌ川のエルミタージュ。どちらも日本では高級ワインの産地として知られています。
この展示会はもちろんビオワイン専門なので、こちらに出品されているワインは全てビオワイン。高級ワインではまだ珍しいABラベルを取得していたり、HVEラベルを取得していたり、様々な認証を持っているものがありました。
どちらも試飲することができましたが、もはやビオかどうか関係ないと思うくらいに「美味しい!」という言葉が先に来ます。本来的には、ワインも飲み物なので美味しくなければ、たとえ環境に優しいものを作っていたとしても、その意味が薄れてしまいます。
美味しいワインを追求した結果が、このように環境に負荷を与えず、持続可能性のある農業へと転換しているフランス農業界の現在地を改めて認識することができました。
ブラインドで飲んで、どちらがビオワインかと当てることが出来る人はそう多くないはず。同じレベルの美味しさだとしたら、より環境に優しい方を選びたい。そういうマインドがフランス人の消費行動に影響を与えているのだと感じます。
フランス最先端のビオワインと、これからの農業
小さな家族経営のワイナリーから大企業まで、多くのワインがビオへと転換しているフランスワイン界。ビオが流行期を経て、より広く普及していく様子を肌で感じることができました。
その中には、ラベルウォッシングという言葉にもあるように、ビオ認証が取得できればビジネスになる、という目的で「名ばかり」のビオワインが存在することも事実ですし、また、そういう風潮を嫌って、あえて認証を取得しない農家も多いと聞きます。
いずれにせよ、これだけ多くの情報が出回る時代なので、消費者の商品を見る目が厳しくなっていくのは避けられないと思います。結局のところ、美味しいかどうかに尽きるのですが、そこにビジネスの思惑が入ると急に複雑に見えてしまいます。
最終的には、販売者や消費者が目利きをして、あるいは生産者とのコミュニケーションの中で自分に合うものを選ぶ時代になっていくのかなと思いました。
ビオワインは今後も普及し続けるでしょうし、より一般的になっていくことでしょう。そうしたときに、ワインの生産方法の問題と、飲む人にとって美味しいかどうかの主観的な問題を分けて考えれるようにできればと、改めて考え直す機会となりました。
MILLESIME BIO
公式サイト:https://www.millesime-bio.com/
開催日:2024年1月27日-29日
来場者数:9600名
出店者数:1500件
大学都市モンペリエの街並みフォトウォーク
ミレジムビオの開催地は、中世からの街並みが残るモンペリエ。フランスの大学として屈指の歴史と規模を誇るモンペリエ大学の街として有名。
19世紀の街並みが残る旧市街、中心のコメディー広場からフォトウォークは始まります。
旧市街を歩くと度々出会う騙し絵。フランスにはよくある光景ですが、モンペリエのは細部まで丁寧で、なかなかのクオリティです。1枚目の騙し絵は鏡に反射する大聖堂までしっかりと描かれていました。
灰色の空に、ベージュの建物はまるでパリの街並みを思わせますが、ここは南フランス。こじんまりとした街並みでもフランスらしい風景は、どこを切り取っても絵になります。
出張や会いたい人がいないと旅にもなかなか出なくなってしまいましたが、やっぱり旅に出るといろんな感覚が刺激されて心地よいものです。そして、カメラという旅に最強の相棒がいるので、つい歩きすぎて足がパンパンになるのも懐かしい。
今回は、フランスワインのご縁でモンペリエを訪れました。
招待してくださったAPOGEEのトマさん、ありがとうございました!